旅の心はしだいに小さくなる
この古めかしくオンボロな寝台で揺られているうちに、振り落ちる砂のように私から離れていった
つい昨日のことが、一ヶ月も前の事のように思えてならなかった
一年前までポールモーリアを知らなかった私が、今、ここで、図々しく、隣の女に、彼の音楽について説明しているなんて、誰が思っただろうか?
私もつい三年前までは彼女のように
素朴で、警戒心を持ち合わせていなかったなんて…
話ははずみ、ありきたりの情報交換が終わると、もう、別れの時だった
「さよなら」と、照れくさそうで図々しい声を出し、窓から手を振るのだ
こんな少々の出会いでも、私の心に浸みている
そして、このオンボロ寝台列車は、ギシギシガタゴトと私を揺らして東京へと向う
しだいに小さくなる想い出をこぼしながら…
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