夢のような軽い心持ちで
銀白色の列車が目の前を通り過ぎた
トンネルの中で
光は鈍く
車体の輪郭はボヤけ
走る振動さえ夢の中でのようだった
黄土色の
萎れたコートを着た君は
重いボストンバッグを下げ
私の目の前に現われた
黒い髪と黒いまゆが私の記憶を
よみ返らせ
愛らしい鼻先は過ぎ去った学生時代を彷彿させた
そして、あの、白いベレー帽をかぶっていた
何も言わず会釈をし
誰もいない
寒々としたプラットホームを
二人で歩いた
二人の靴音だけが聞こえた
ああ、なつかしい人よ
あなたは私のすばらしい日々と共に去り
再びやって来た
そのうるわしき人よ
あなたは私が昔をなつかしむように
浮かんでは消えてゆく幻だった
再び会えた喜びを
この螢光燈と石で固められた床の上に
私は踏みしめている
0 件のコメント:
コメントを投稿