黄色くなってしまった紙の襞から
かびくさい記憶が飛び出してくる
そこには
名も知らぬ
顔も知らぬ
六年前の名前が羅列されている
頭の中をその人影らしき黒いものが通ってゆく
そして
黒く変色したペン字の上に
ぼやけてしまった
当時の思い出が飛び出してくる
おそるおそる黄色い粉を出すページをめくってゆくが
内側には、ほとんど何も記されていない
試験の時間割以外には
一ページめくるごとに
安堵のため息が出る
白いページが続いていただけ
少し汗ばんだ指先から
ペラペラの紙へ汗がしみ通っていた
最後のページには
名前と住所と血液型が書いてあった
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