この大きな駅の大きなホームには
チラチラと
どぎつく塗られた
ガラガラの
通勤電車が
音もなく進入するだけだった
始めてそれを見た
目立たない
見なれた
電気機関車が
自分の存在を大声で叫びながら通り過ぎた
目の前にあった
長距離列車が
控え目に出発した
視界が開け
長い旅立ちを前に
僕は自信と不安を
コーラのびんに押し込める
僕は九番ホームから、それをながめているだけ
彼女と僕は同時に同じコーラを飲み
同時に飲み終わった
僕は心の中で嘲笑った
「彼女は海岸地区の売春婦だ」と
突然
彼女は僕に向かって叫んだ
「一郎!一郎!」と
ホームには誰もいない
行き交う列車に全てはかき消された
「一郎!一郎!」
僕の名前なんかじゃないよ
なぜそんなことを言うの?
ホームには僕もいないからって
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